ラブソングをもう一度
俺たちが出逢ってから、レイはこの狭いアパートの中で生活してきた。
俺はいつの間にかこの、謎が多い美少女に溺れてしまい、そして、レイも、多少なりとも俺に心を許しているような気がしていた。
勘違いも、甚だしい。
レイは、ちっとも俺に心を許すわけでも、信頼しているわけでもなかった。
だけど他人と密に付き合うことを嫌い、自分のことを話したがらないレイ。
俺は、彼女が自分の居場所を作るのが苦手なのだと思っていた。
だから、このアパートの部屋が、俺たちのだけの世界である、と思っていたかった。
レイにとって、住みやすい世界であってほしいと思っていたのだ。