ラブソングをもう一度
無意識に俺は、レイを抱きしめた。
知らない間に、レイに触れることで、俺は自分の寂しさを埋めていた。
力を込め、強く抱きしめすぎたらしい。
「海、痛いよ」
泣きそうな声で呟いたレイの声で、はっと我に返った。
「来週も、ライブハウスに行くのか?」
「そうだね。落ち込んだら、行くかな」
「アイツに会いに?」
「それも、あるかもね」
レイという名の、美人な小悪魔に、俺は間違いなく翻弄されている。
付き合っているわけでも、愛の言葉を交わし合ったわけでもない。
ただ、一つ屋根の下で、一緒に生活をする。
抱き合い、キスをして、セックスをする。
そして俺はどこかで、恋人という名の甘い関係になったと勘違いしていたのかもしれない。
俺は、無性に泣きたくなった。