ラブソングをもう一度
そうだ一日…。
一日だけなら…。
第一、女の子を一人であんな時間にあんな場所に放っておけないし…。
そう自分に言い聞かせて、彼女をバイクの後ろに乗せる。
「ここだよ。狭いけど」
アパートの部屋に彼女を招き入れる。
「何か飲む?つっても……麦茶か、コーヒーか牛乳しかないけど」
冷蔵庫を開けて、我ながらげんなりする。
まぁ、男の一人暮らしなんて、そういうもんか。
「ホットミルクがいい」
「ホット?夏なのに?変わってるな」
冷蔵庫の中の牛乳をコップに注ぎ、レンジにかける。
「聞いてなかったけど、名前は?」
「レイ」
「レイ?なんだか、君に似合ってるな。年は?」
「来年の2月に、18になる」
ホットミルクの入ったマグカップを持って、ソファーに座る。
「お兄さんは、大学生なんだ?」
彼女の目線の先には、机の上に山積みにされた、教科書が散らばっていた。