君に嘘を捧げよう
「あっ、懐かしいねー」
「どわ!?ゴメン勝手に見たりして…」
「別にいーよー。それより早く続き~」
アヤネは持ってきたお茶をテーブルに置いてアルバムを覗き込んできた。
「あ、うん。……あれ…?」
次のページから、アヤネのワンショットばっかり…。
「…このころから、タクトはいなくなったんだよね」
「あ…」
そっか…。
「…ま、友達もたくさんいいたし寂しくなかったよ!だけど」
次のページをめくると。
今度は俺とのツーショットばっかりだった。
「…帰ってきてくれたら、やっぱり嬉しかった…」
俺を切なそうに見るアヤネ。
「…俺は…」
俺は、『タクト』じゃないのに…。
「…こんなことしてる場合じゃなかったね!さ、勉強勉強!」
そう言ってアヤネはアルバムを閉じて、もとのあった場所にしまった。