君に嘘を捧げよう

「あ、母さんちょっと買い物出かけてくるから。留守番よろしく」

「起きていきなり…」

「アンタがこの時間まで寝てんのが悪い。あ、お姉ちゃんは友達とこ遊びに行ってて父さんは会社だから、この家アンタひとりだから。じゃね」

軽い言葉を残して母さんは買い物に行った。

「さーて、ひとりですか。何やろっかな~」

モ〇ハンでもやろっかな思ったそのとき。

「お?誰か来た」

インターホンがなった。

「どちら様ですか~…っとうわ!?」

「や、来ちゃった」

「あ、あ、あああアヤネ!?」

「遠藤くんにこの近くで会って…それで近いからって教えてもらっちゃった」

「そ、そそそそーなんだ」

カイのやつ…。

「タクト、引っ越したんだね。知らなかった…ビックリ」

「はい?…あ、そー!そーなんだよね、教えてなくてゴメンね」

幼なじみの家が突然変わってたらそりゃビックリするわな…。

「あ、あがってきます?」

「いいの?じゃあおじゃましまーす」

よかった、家に俺以外誰もいなくて。母さんナイスタイミング。

「そーいえばさっきタクトのお母さんの背中見たけど、前と雰囲気変わったね?」

「え?あ、太ったってこと?あはは…」

だって別人ですもん…。

「…それはお母さんに失礼だよ…」

真っ当な返事をしてくるアヤネ。
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