さくら、ひらひら。




そういって、走って自分の部屋に向かう。


まるで、昔見たホームドラマのよう。


「弥生っ!?……!」

お母さんが叫んでいるのが聞こえたけれど、

それも無視して階段を駆け上がった。




あたしは、自分の気持ちをごまかすように

マンガを読んだり、音楽を聴いたり、宿題をしたりして過ごした。




時計を見れば、もう23時過ぎ。




「…もう、あの人帰るかな…?」


別に、お母さんの再婚が嬉しくないわけではない。

ずっといなかった〝父親〟という存在ができるのも、

実は嬉しい。


でも、今

わがままだけれど、

今、そんな話は聞きたくなかった。



きっと仲良くしている両親(ふたり)を見たら

聖治のことや大のことを思い出してしまう。



胸が苦しくなってしまう。










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