さくら、ひらひら。
急いでまた駆け上がろうとしたのに、
「弥生!待って!」
とお母さんに引き留められた。
「弥生、ちょっとここに座りなさい。」
嫌とも言えず、言う理由も見つからず
言われるままに椅子に座った。
「あのね、弥生。…お母さん、この人と…
もう、結婚しているの」
サァ…とあたしの中で、何かが壊れた。
どうして…言ってくれなかったんだろう…。
頭が真っ白で、声も出ず
ただただ呆然と〝父親〟を見つめていた。