さくら、ひらひら。
「弥生…、やめてちょうだい。
弥生はそんなこと言う子じゃなかった。
そうでしょ?」
お母さんが言った。
あたしも言い返す。
「それは、平田弥生の話でしょ?
あたしはもう飯島弥生なんだから
今までのあたしとは違うの」
何か言いかけるお母さんを無視して、
またあたしは部屋に閉じこもった。
誰かに、聞いてほしいと思った。
辛かったから。
本当は苗字なんてそんなこと問題じゃない。
あたしの知らないところで、
大事なことが進んでいたっていう事実が
とてつもなく、イライラした。