さくら、ひらひら。




「じゃ…バイバイ」


「うん、また明日ね!」



ニコッと笑ってあたしに手を振る沙耶に

やっぱり笑顔で手を振りかえしてから

あたしは自分の家へと帰り始めた。




やっぱり…いるんだよね?





その時、あたしの前に一台の車が停まった。

黒色の、いかにも高そうな車。


「弥生ちゃん!お帰り。さ、乗って」



「信行…さん?」



あたしは言われるままに

車に乗っていた。


「今日学校どうだった?」


「まぁ…普通です。いつも通り」


「そうか…。弥生ちゃんは何の授業が好きなの?」


「特に、どれが好きとか…ないです」


「そうか。俺は…なんだったけ?

昔のことすぎて、忘れたな」



ハハッと笑う信行さんに合わせて笑う事もせず、

あたしはぼーっと外を見ていた。






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