さくら、ひらひら。




「弥生ちゃん?開けてくれる?」



信彦さんの声。



渋々ドアを開けると、

信彦さんはおにぎりとウインナーと卵焼きという


なんだかお弁当みたいなメニューだけど。


それをお皿に乗せて持ってきてくれた。



「弥生ちゃん…何も食べてないだろ?

ダイエット?…ちゃんと食べないと、体壊すぞ?」



「…違います、ダイエットなんかしてない」



奪うようにお皿を受け取ると、


「…おやすみなさい」




といって、強引にドアを閉めた。





「…おやすみ」




信行さんがあたしに返事をするのを聞いてから


あたしはおにぎりを食べた。



突っ張っているつもりなのに、

大人は…ずるい。



優しくされればされるほど

なんだかみじめになる。








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