さくら、ひらひら。
「大変だったな」
たった一言。
たった一言なのに、あたしにはとてもとても大切な言葉だった。
「今は?」
「今は…ちょっと気まずくて…さ?学校の時以外は
部屋にこもってる」
「……たまには部屋から出てみろよ?
…また電話してこい」
「うん。ありがと…」
「じゃ…お休み」
「うん、おやすみ」
電話を切ってからもドキドキは続いた。
聖治に〝部屋から出ろ〟って言われたら、
出るしかないじゃん。
あたしは、そっとドアを開けた。