さくら、ひらひら。
弥生、って呼ばれて少し安心した。
旅行の時冷たい目は優羽ちゃんのこと、
思い出してたんだなと納得する。
「…優羽はきっと、うちのこと恨んでる。
だから、うちは一生これを背負って
生きてかなきゃいけないんだ」
今、しゃべりかけたら
優依、怒るかな…?
そう深く考える前に、
言葉が先に出ていた。
「…優依…!違うよ、それは…誤解だよ!」
「…誤解?」
「そう。優羽ちゃん、あたしに
一回だけ言ったことがあるの。
『優羽、お姉ちゃんに嫌われてるけど、
優羽はお姉ちゃんのこと、大好きなの!』って。
すごく幸せそうに微笑んでたよ。
…だから、だから、自分を責めないで?」
優依は何か言おうとしたのか、口を開けたまま、
しばらく動かなかった。
「……っ、優羽っ…!
ごめんね、…こんなお姉ちゃんで…
ごめんね……っ」
そういってひとしきり泣いた後の優依は
少しだけ前みたいな穏やかな顔つきに戻っていた。