さくら、ひらひら。
そう言ってあたしたちに柔らかい笑顔を見せるのは
大のお父さんだ。
あたしには生まれた時からお父さんがいないから、
ホントのあたしのお父さんみたいに思ってる。
「今日から1泊2日だっけ?いいなぁ、お父さんも行きたいや」
「今度は親も一緒に行きましょうかっ!」
「やめてくれ・・・」
大と聖治がげっそりした顔で言う。
ピンポーンと軽快な音を立てたチャイム。
「お、優依だ」
「じゃ、行ってくる」
「行ってきます!」
「はい、気を付けるんだよ~」
バイバイと手を振る大のお父さん。
あたしたちの旅はここから始まった。