さくら、ひらひら。
「もー、優依!なんでそんなに遅いのっ!」
「ごめんごめんっ!服どれ着ようか迷っちゃって」
「そういうのは前日に決めとけといつも…」
なんかイライラモードの聖治がぶつぶつと文句を言っている。
「まぁ、聖治落ち着け。バス来たぞ?」
予定より1本遅いバス。
一番後ろの長い席を4人と荷物で占領すると、
優依がガサガサと何かを出した。
飴とかガムとか、キャラメルとか。
そんな類のものを優依はいつも持っている。
「俺、ガムね」「じゃあたしは~…飴!」「俺もガム」
どーぞ、とあたしたちにガムや飴を配ってから。
「始まるね。最初で最後の旅。」
そう優依がつぶやいたことは誰も気づかなかった。