さくら、ひらひら。
そうあたしに縋り付いてきたのは優依だ。
「優依…もう、なんでそんなに泣いてるの?」
「だってっ、もう、卒業なんだよ?」
切れ切れにしゃべる優依をよしよし、と抱きしめる。
教室に戻って、最後のHR。
「これがお前らへの最後のHRだな。3年間お疲れさん。高校生になったら今よりずっとつらいこととか、苦しいこととかたくさんあると思う。大学受験する奴もいるだろうしな。でも耐え切れなくなったら戻ってきていいからな。先生、ちゃんとお前らの話聞くから」
ぐすっ…と先生が鼻をすする。
そして、軽く目のあたりをこする。
あんなに怖かった先生が泣いてる―――。
「卒業」が先生にとってどういうものなのか、感じ取れた。
「頑張れよ。先生からはそれだけだ」
その言葉であたしもあふれてくる感情を抑えられなかった。