さくら、ひらひら。
「……聖治!?」
大が驚いた声を出した。
「なんで聖治といるんだよ!
周り静かだし、そこ弥生の家だろ!
ちょっと聖治に代われ」
あたしはいつもと違う聖治が怖かった。
「せ…せいじに、って…」
「俺?」
聖治が少し怪訝そうな顔をする。
「もしもし?」
その瞬間受話器からは怒鳴り声。
二人の会話の中から「違う」「裏切り」「優依」「弥生」という単語が聞こえた。
あたしと優依?裏切り?違う?
なにがどうなっているのか全く分からない。
ただ、笑える雑談でないことは確かだ。