ド ロ ボ ウ ネ コ (改)
あたしは誰もいない病室に入った。

ゆっくりとおばあちゃんが寝ていたベッドに近付く。


「おばあちゃん…」


持ってきた花をベッドの上に置く。

それは窓からの日差で、とても綺麗に光った。


『想ってることは言葉にしないと伝わらないよ』


不意におばあちゃんの言葉を思い出す。

あたしは輝いている花に触れた。


「…分かったよ、おばあちゃん」


そっと手を離すと、花が小刻みに揺れた。

あたしは少しずつ、

前に進み始めた。
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