ド ロ ボ ウ ネ コ (改)
「…結平?」


答えるようにあたしも呟いた。

目の前に結平がいて、その横にはお母さんがいる…

それって…

あたしたちの間に流れる変な空気を、何も知らないお母さんが止めた。


「チカちゃん知ってるの?結平のこと」


結平…?

なんで…

…なんでお母さんが『結平』って呼ぶの?


「バイトが一緒で仲良くしてるんだ」


結平がお母さんに説明する。

その隙にあたしは黙って自分の部屋に向かった。

呼び止められても部屋に入る。

一人になりたかった。

これ以上、二人の姿を見たくなかった。

手には痛々しい爪の跡がついていた。
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