ド ロ ボ ウ ネ コ (改)
バリンッ…!


持っていたコップを床に投げ付けた。

ガラスの破片が散らばる。

あたしはそれに構わず、部屋に戻ろうとした

その時だった。


「チカちゃん…」


お母さんが言う。

静かな強い声で。


「結平を取らないで」


ドキリとした。

心臓が激しく鼓動を打つ。


「取らないで…」


お母さんの目が女に変わっている。

これがお母さんのもう一つの顔…

あたしは笑って言い返した。


「安心して。あたしはもう…二人の邪魔はしないから」


そうだ…

自分の母親の男を取るほど、あたしは腐っちゃいない。
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