ド ロ ボ ウ ネ コ (改)

お母さん

結平と会わなくなって、月日が流れた。

今週は卒業式。

卒業したらこの街を出て行く。

大学からはありのままの自分で過ごそうと決めていた。

二つの顔ではなく、一つの顔で…

あたしは一人しかいないから…


「どこだっけ…」


卒業する前に返そうと、愛美から借りた本を探す。


「そうだ…家だ」


あの本は家の本棚に置いてある。


「……」


時計を見た。

今の時間ならお母さんはいないだろう。

そう思って部屋を出て、早足で家に向かった。
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