ド ロ ボ ウ ネ コ (改)
「チカちゃん帰ってるの?」


突然お母さんの声が聞こえた。

リビングの方からだ。

この家には誰もいないと思っていた。

玄関に靴がなかったから…


「ちょっと来てくれる?」


心臓が激しく動き始める。

「どうしよう」という言葉が、頭をよぎる。

あたしはお母さんの男を…

結平を奪った。

できれば会いたくない…


「…お願い、チカちゃん」


お母さんの弱々しい声がした。

あたしはゆっくりと足を前に進めた。
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