ド ロ ボ ウ ネ コ (改)
「お母さん…!!」


驚いた。

お母さんが来ている。

保護者席に座っている。

お母さんはあたしを見て、優しく微笑んだ。


「……っ」


それだけで泣きそうになる。

卒業式で、それも最初から泣くなんて…

全然自分らしくない。

必死に涙をこらえる。

でも無理のようだ。

あたしは顔を伏せ、スタスタとその場を去った。

ずっと噛み続けていた唇は、赤く熱をおびていた。
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