ド ロ ボ ウ ネ コ (改)
しばらくして、一旦結平が病室を出て行った。

その隙に帰ろうと立ち上がる。


「何?黒猫って」

「チカちゃんのことを言ったんだけど」


おばあちゃんは当たり前のようにそう答えた。

あながち間違いじゃないな…

と、心の中で笑った。


「じゃぁ帰るけど、絶対結平にはあたしが来てること言わないでね」


そう言って、走ってドアに向かう。


「チカちゃん!」


急におばあちゃんが呼び止めた。


「またね」


いつもと変わらない笑顔。

あたしは少し笑って、病室を後にした。
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