SweetS Love
席につき、お茶を口にふくむ。
苦い味が口に広がる。
ふう…と啓は一息つくと話だした。
「相田ってさぁ…」
「うん?」
「海のこと好きだろ?」
思考回路が止まる。
「なっ…え…」
「態度見りゃ分かる…。」
言うべきなのか…
迷いながら私はコクッと頷いた。
「やっぱりな…」
「もしかして…
気をきかせて席外したの?」
そう言うと啓は頷いた。
「そっか…
優しいじゃん、啓って!」
「まぁな♪
てかお前早く食べないとご飯にしみるぞ?」
「あ゙ぁ!」
私はパカッとふたを開けて一口食べる。
「セーフ……?」
甘い味が広がった。
サクサクとカツが音を鳴らす。
「そっか。」
啓はアンパンを頬張る。
「え…アンパン…好きなの?」
「うん。」
確か…お姉ちゃんも…
「そうなんだ!
私のお姉ちゃんもアンパン大好きなんだよ?」
確かアンパンあったら暮らして行けるって言ってたっけ…
思いだすと笑いが込み上げてきた。
「………。」
黙ったままの啓。
何かを考えているような顔。
「啓…?」
「…あ…あぁ。
そうなんだ。」
「…うん?」
そのまま黙々と食べ、優達と合流して教室に帰った。
知らなかったよ。
啓は……
ただ好きだからじゃなくって。
…だからアンパンが好きだったんだね。
思い出がいっぱい詰まったパンだったんだね。
私は知らなかった事が多すぎたんだ。