小さな僕


「お母さん」

荷物をまとめて手を止めないお母さんを呼んだ。

「ん?」

「またあの海見たいな」

「……」

お母さんは手を止めた。

「お母さん」

「……」

「クジラの背中に
乗れなかったね」


僕はお母さんの笑顔がみたかったんだ。

こっちを全然見てくれないから

こっちをむいて欲しかった。



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