しろうさ恋日記。




結局…………名前を呼ぶ練習は全くうまく出来ませんでした……………。



「…………夜兎。」



弟の名前を呼んでみる。



「…………ナニ?しろうさ。」



いきなり名前を呼ばれて夜は不思議そうな顔をして、きょとんと首をかしげた。



パパ譲りの艶々した黒髪がサラリと揺れる。



「…………こんなに簡単に言えるのになぁ………。」



「………。」



わたしは夜をほっといて…はぁーー…と長いため息をついた。



そしてそのままとぼとぼと玄関に向かう…迷惑なわたし…………。










「…………最近、しろうさ病気じゃねぇ?…ハル、診てやったらー…………ナニ目頭押さえてんの??」



「…………お父さんは獣医だ。」



「……………しろうさってさぁ……彼氏…………ムグ…」



「夜くん、学校行こうねぇ~。」



「…………なんで口ふさぐ………」



「………仕事行ってくる。今日はサクラ(チワワ)のオペだった。」



「パパ、いってらっしゃーい!」



「…………何なワケ……??」















パパ、申し訳ないです。



家を出たわたしは………



「どうしたら自然に名前を呼べるのかなぁ……?」



頭は彼氏さまでいっぱいです。









< 102 / 165 >

この作品をシェア

pagetop