しろうさ恋日記。


―――咲夜の日記



〇月×日




今日、初めて彼女が俺の名前を呼んでくれた。


赤い顔で小さな声で…恥ずかしそうに言われた俺の名前……。


名前を呼ばれることは当たり前の日常で…それを特別に感じたことなんて一度もなかったのに、


今日、初めて、特別に聞こえた…………。


大切な君から呼ばれた名前が大切なモノみたいに思えた。


約束もしてなかったのに、待っていてくれたことも………


もう…めちゃくちゃ、嬉しかった。


何も気のきいたことの言えなかった帰り道も

『一緒で嬉しい』

そう言って笑ってくれた君の言葉に…俺の方が嬉しかったんだ……。


君がいるだけで……
君の言葉ひとつで……


暗い気持ちも嘘みたいに幸せになる。


繋いだ手を離したくなかったんだ。


気持ちは進んでさらにデカくなる。


君の手を引いてどこまでも行きたい。






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