しろうさ恋日記。




――――コンコン。



「…………はいっ。」



もう何度目かのノックの後、戻ってきた咲夜くん。



「…………お待たせ。」



そう言って少し笑って…彼もやっと着替えを終えていた。



それに気付いて、ふと思った…………。



咲夜くんだってびしょ濡れだったのに……………わたしのことが全部終わるまで着替えなかった…………。



わたしを…………優先してくれたんだ……………。



「…………っ。」



そんな彼の優しい気遣いに、胸がじーんとしてしまう。



「…………?………どうかしたか?」



急に黙り込んだわたしの顔を覗き込むと心配そうな顔になる。



「なんでもないの………!

咲夜くん………いろいろいっぱいありがとう………!!」



わたしはぶんぶんと頭を振ると、潤んだ瞳を隠すように精一杯の笑顔を向けた。



「…………どう…いたしまして。」



そんなわたしに咲夜くんも、フ…と微かな笑顔をくれて、わたしの頭を優しく撫でてくれた。











冷たい雨も



優しいあなたの傍で










心まで温かいんです。








< 160 / 165 >

この作品をシェア

pagetop