しろうさ恋日記。
うつむいた顔を上げると、ママは綺麗で優しい笑顔だった。


「白ちゃんはツキシロくんが大好きなんだね……」


「……!」


その言葉にぼんっと顔が熱くなる。


「好きな気持ちが大きくなると、誰でも欲張りになるよ……。見つめるだけじゃ足りなくなる」


本当に好きなら当たり前の事だとママは言う……。


「近づいて、目を見て…お話ししたくなるんだよ。白ちゃんの好きは成長中なの。だから何も出来ないのが……切ないんだね」


「………っ!」


………切ない。


あぁ…そうだなぁって思った。


何にも出来ない奥手なわたし……。


それなのに、欲張りになっていく自分が恥ずかしかった……。


見つめててもそんな自分が悔しくて、切ない。


「………お話し、しておいで?」


パッと顔を上げてママを見る。


相変わらずの優しい笑顔………。


「…………でも、出来るかな……?」


不安な顔でそう言うと、


「出来るよ。……だって、白ちゃんの中には大好きが溢れそうだから」


「………!」


ママにトンと胸をさされ、思わずぎゅっとそこを掴む。



ここには好きが溢れそうなくらい詰まってる………!



「ママ…、ママ…っ!……ありがとう……!!」


ぎゅうっとママに抱きついた。


ママはわたしを優しく抱きしめて、


「どういたしまして」


それだけ言って微笑んだ。



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