哀恋~素直になれば。
4.気付いたキモチ
『お願いだから――傷つけあわないで…?』
あたしは、二人の間に入り光輝が殴るのを止めた
光輝はハッとしたようになる透を殴ろうとした手であたしの濡れた頬を優しい手つきで拭った
「ごめん、真理亜」
光輝がすまなそうに謝った
ううんとあたしは首を横に振って光輝の手を握った
『本当に謝ってほしいのは光輝じゃないから』
そう言ってあたしは光輝の手を握ったまま茫然としている透と向き合った
『ねぇ…透。あたしね、気付いちゃったの。あたしは貴方を好きじゃない。あたしは――』
あたしは、光輝が好きなのって言おうとしたら透が遮った
「させるか…そんなこと。俺とお前は許婚だぞっ!今更取り消しにできねーよ」
そう言って吐き捨てた透の瞳は欲望に燃えた哀しくて淋しいようなギラギラとした赤い色にあたしは見えた