哀恋~素直になれば。
毎朝、光輝はあたしの殴られたところを治療してくれる

「わかった…屋上行こうぜ」

『うん。』

―光輝は優しい

――――――ありがとう、光輝

その優しさが、あたしにはとても怖い

光輝の優しさに触れるたびに結婚しなければならない運命にある透をもっともっと嫌いになってしまうような気がして。

透を傷つけることだけは何としても避けたい。

透が、闇の中へ堕ちてしまう前にどうにかして助けたい

でも――あたしには無理がある

だから、少しの優しさでも縋ってしまうんだ。

例えば、優しく握られた光輝の手が好きだ

愛おしくて堪らない…

もっと、もっと欲しくなる―――

欲張りになってしまうんだ…―――――

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