この想い伝わるまで
第1話 お兄ちゃんの名前
「もう!お兄ちゃんのバカバカ!!早く起きてるくせに、何で起こしてくれないのよ!!」
私は階段を1つ飛びにドタバタと降りながら文句を言うと、リビングの扉を開けた。
「あら、お、そ、よ、う。響。健二ならもうとっくに学校に言ったわよ」
嫌味もタラタラにママが、私の目の前にトーストを置く。
「間に合わないからいらない!」
「もうっ、せっかく焼いたのに!!」
「じゃ、行って来る!」
「あ、響。今週の土曜日は友達との約束とか入れないでよ!」
「分かってる!15周忌だよね」
「分かってればよろしい」
私はスポーツバッグを掴むと、三つ編をしながらバス通り目指して走り出した。
健二お兄ちゃんの本当の家族は別にいた。
そのことを両親は中学生になったばかりの頃、私に教えてくれた。
それまで、いつも不思議に思っていた謎が一つ解けた。
「どうしてお兄ちゃんは長男なのに、『健二』なの?」
小学生の頃の私の無邪気な質問に、困った顔したお兄ちゃんがいた。
お兄ちゃんは、昔、三人兄妹だった。
長男の慎一さん、それから、『健二』お兄ちゃん、そして、妹の洋子ちゃん。
今からちょうど15年前……。
対向車が曲がり切れず、お兄ちゃん一家は事故に巻き込まれた。
そして、唯一一人、健二お兄ちゃんだけが助かった。
そのお兄ちゃんを引き取ったのが、遠縁にあたる私たち家族だった。
私は階段を1つ飛びにドタバタと降りながら文句を言うと、リビングの扉を開けた。
「あら、お、そ、よ、う。響。健二ならもうとっくに学校に言ったわよ」
嫌味もタラタラにママが、私の目の前にトーストを置く。
「間に合わないからいらない!」
「もうっ、せっかく焼いたのに!!」
「じゃ、行って来る!」
「あ、響。今週の土曜日は友達との約束とか入れないでよ!」
「分かってる!15周忌だよね」
「分かってればよろしい」
私はスポーツバッグを掴むと、三つ編をしながらバス通り目指して走り出した。
健二お兄ちゃんの本当の家族は別にいた。
そのことを両親は中学生になったばかりの頃、私に教えてくれた。
それまで、いつも不思議に思っていた謎が一つ解けた。
「どうしてお兄ちゃんは長男なのに、『健二』なの?」
小学生の頃の私の無邪気な質問に、困った顔したお兄ちゃんがいた。
お兄ちゃんは、昔、三人兄妹だった。
長男の慎一さん、それから、『健二』お兄ちゃん、そして、妹の洋子ちゃん。
今からちょうど15年前……。
対向車が曲がり切れず、お兄ちゃん一家は事故に巻き込まれた。
そして、唯一一人、健二お兄ちゃんだけが助かった。
そのお兄ちゃんを引き取ったのが、遠縁にあたる私たち家族だった。
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