この想い伝わるまで
第9話 お兄ちゃんの夢
真夜中に夢を見た。
お兄ちゃんが暗い海の底から私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
私は海に飛び込んで、5歳くらいの小さなお兄ちゃんを抱き締めた。
もう大丈夫だよって言って、お兄ちゃんの頭を胸の中でぎゅっと抱き締める。
このフワフワの髪が好き。
昔から癖っ毛だよね、お兄ちゃん。
私の腕の中の小さな小さなお兄ちゃんが可愛い。
でもそのお兄ちゃんが顔を上げると、今の……大学生のお兄ちゃんになってる。
「お兄ちゃん、大好き」
「……俺がどんな男でも、何をしても好きか?」
「うん、好き」
「これから何が起こっても全てを許してくれる?」
「……うん」
いつの間にか、私の方が大きなお兄ちゃんに抱き締められてる。
あったかい。
さっきまで暗い海の底だったはずなのに……
お兄ちゃんの体が熱を帯びる。
私を抱き締めている腕にも力がこもって息が出来ない。
お兄ちゃんは体を起こすと、両手で私の頬をそっと包んだ。
「だって、お兄ちゃんは私のお兄ちゃんだもん」
そう呟くと、悲しそうに微笑むお兄ちゃんの腕の中で再び眠りに落ちた。
* * *
翌朝、目覚めるとお兄ちゃんの顔が直ぐ目の前にあった。
長いまつ毛に指を当てるとお兄ちゃんの目がパチッと開いた。
「お兄ちゃん、おはよう」
「おはよう」
おでこを合わせながらの朝の挨拶。
小さい頃、良くしていた挨拶にほっぺがくすぐったくなる。
「お前、熱は?」
お兄ちゃんが私の頭に手を当てる。
「まだ、ちょっと熱いな」
「でも昨日よりだいぶいいよ」
「無理すんな。少し延長するか」
「延長?」
お兄ちゃんは受話器を持つと、何かを相手と話していた。
「学校にも休むって連絡を入れておくよ。昼前までに出ればいいから、お前はもう少し休め」
お兄ちゃんはお風呂場に行って服を着替えると、朝食を買って来ると言ってそのまま出て行ってしまった。
お兄ちゃんが暗い海の底から私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
私は海に飛び込んで、5歳くらいの小さなお兄ちゃんを抱き締めた。
もう大丈夫だよって言って、お兄ちゃんの頭を胸の中でぎゅっと抱き締める。
このフワフワの髪が好き。
昔から癖っ毛だよね、お兄ちゃん。
私の腕の中の小さな小さなお兄ちゃんが可愛い。
でもそのお兄ちゃんが顔を上げると、今の……大学生のお兄ちゃんになってる。
「お兄ちゃん、大好き」
「……俺がどんな男でも、何をしても好きか?」
「うん、好き」
「これから何が起こっても全てを許してくれる?」
「……うん」
いつの間にか、私の方が大きなお兄ちゃんに抱き締められてる。
あったかい。
さっきまで暗い海の底だったはずなのに……
お兄ちゃんの体が熱を帯びる。
私を抱き締めている腕にも力がこもって息が出来ない。
お兄ちゃんは体を起こすと、両手で私の頬をそっと包んだ。
「だって、お兄ちゃんは私のお兄ちゃんだもん」
そう呟くと、悲しそうに微笑むお兄ちゃんの腕の中で再び眠りに落ちた。
* * *
翌朝、目覚めるとお兄ちゃんの顔が直ぐ目の前にあった。
長いまつ毛に指を当てるとお兄ちゃんの目がパチッと開いた。
「お兄ちゃん、おはよう」
「おはよう」
おでこを合わせながらの朝の挨拶。
小さい頃、良くしていた挨拶にほっぺがくすぐったくなる。
「お前、熱は?」
お兄ちゃんが私の頭に手を当てる。
「まだ、ちょっと熱いな」
「でも昨日よりだいぶいいよ」
「無理すんな。少し延長するか」
「延長?」
お兄ちゃんは受話器を持つと、何かを相手と話していた。
「学校にも休むって連絡を入れておくよ。昼前までに出ればいいから、お前はもう少し休め」
お兄ちゃんはお風呂場に行って服を着替えると、朝食を買って来ると言ってそのまま出て行ってしまった。