もう1度その声を
「じゃあ、始めるか」
「そうですね。ちゃっちゃと終わらして帰りましょう」
7.8枚の書類を1つの束にしてホッチキスで止める。
その間、ずっと無言だった。
ガラガラガラッ!!!!
「隼人!!!」
静かだった教室に、突然甲高い声が響く。
「吉野かよ。んだよ、ビックリすんじゃねぇか」
「ゴメェン。何してるのかなぁと思って」
あぁ。この人知ってる。
古沢先輩のコト好きな人で、確か、付き合ったけどすぐに別れたんじゃなかったっけ。
でも、この世界では「前」の事実は通用しない。
少しは変化してるのかな??
「永瀬と書類作りしてんだよ。委員会だから。だから、お前は帰った帰った」
そう言って、追い出す真似をする古沢先輩。
一気に吉野先輩の表情が変わった。
「何よぉ。別にいいでしょ??いたってぇ」
うわっ。
にらんできたぁ。