「キカイ」の子
第１章　彼の目に映るもの
白い壁に囲まれた少し小さめの部屋の中で、少年は黒い丸椅子に腰掛けて、アルミ製の机に向かっていた。



彼は、白い紙にシャーペンを走らせ、受験間近の高校生でも解けないような難解な数式を解いていく。





彼の手は、時折、止まりはしたが、ものの数秒でまた動き出していた。




彼の書く音、彼が数分置きにめくる本の音、そして、時計の針の音だけが部屋の中に響いている。




その部屋の床には、深い青色のカーペットが敷かれ、彼の後ろには黒のベッドがあり、彼の隣には黒い本棚があった。





それらの家具には埃が被っておらず、床には塵一つ落ちていなかった。




きれいというよりは、生活感が一切感じられない部屋だった。




その空間に少年は奇妙なほどにとけ込んでいた。
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