「キカイ」の子
交錯する思い
夏美はあの後、東林大学病院に搬送された。
透が、連れてきた先生にそう指示したからだ。
冬彦は、その間、全く何もできなかった。
彼の頭は、夏美が倒れた時に真っ白になり、気づいた時には病院に着いていた。
今、冬彦は透と一緒に、病室の前にある長椅子に座っている。
病室の中には先ほど、健一が、息子に目もくれず、険しい顔で入っていった。
健一が中に入って、もう三十分以上経っていた。
冬彦と透は会話もせず、ただ重苦しい雰囲気にひたすら耐えていた。
すると、病室の引き戸が開き、健一が出てきた。
その顔は、病室に入るときよりも、幾分か穏やかなものになっていた。
「父さん!夏美は?」
透が椅子から立ち上がり、上擦った声で訊いた。
透が、連れてきた先生にそう指示したからだ。
冬彦は、その間、全く何もできなかった。
彼の頭は、夏美が倒れた時に真っ白になり、気づいた時には病院に着いていた。
今、冬彦は透と一緒に、病室の前にある長椅子に座っている。
病室の中には先ほど、健一が、息子に目もくれず、険しい顔で入っていった。
健一が中に入って、もう三十分以上経っていた。
冬彦と透は会話もせず、ただ重苦しい雰囲気にひたすら耐えていた。
すると、病室の引き戸が開き、健一が出てきた。
その顔は、病室に入るときよりも、幾分か穏やかなものになっていた。
「父さん!夏美は?」
透が椅子から立ち上がり、上擦った声で訊いた。