「キカイ」の子
「実は、夏美はずっと病気だったんだ。小学生よりも前から……んで、その担当医が、父さんなんだ。」


「健一さんが?」


「あぁ。」




透はそう言うと黙ってしまった。




沈黙が二人の間に流れる。


それを破ったのは冬彦だった。



「透はいつから知ってたの?」


「ずっと前から、たぶん、冬彦と友達になる前から…」


「僕と……?」



何故この場面で自分が登場するのか、理解できなかった冬彦は訊いた。



「あぁ。覚えてるか?オレたちが初めてしゃべった日。」


「うん。覚えてるよ。」




冬彦と透が、初めて話した日は、今からだいたい五年前で、当時、二人は小学四年生だった。





「透が僕に初めて話し掛けた言葉。それは…」
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