「キカイ」の子
「……夏美は、そう長く生きられないって父さんが言ってた。」


「え…?」


二人が、並んでロビーのソファーに腰掛けた後、透が切り出した。


「長くないって……どれくらい?」



冬彦が、恐る恐る訊いた。


透はうつむいて、悔しそうに言った。



「……もって、あと四ヶ月。」


「そんなっ!?」



冬彦は大きな声を出し、透を見た。


「父さんが言ってた…それ以下になることはあっても、それより長くは生きられないって……」


「そんな、あと四ヶ月って…」


「今年の…十一月だ。」


「そんな…」


「だから、オレは、夏美の最後の、夏休みを好きなやつと過ごさせてやりたいって思った。だから…」



透は、声を荒げながら言った後、一回息を吸って冬彦を見据えた。





「……夏美に、おまえに告白するように言ったんだ。」
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