「キカイ」の子
「透が?」



「あぁ。一回目は、おまえの都合で駄目だったあの日、その次が、夏祭りだ。」






冬彦はそこまで聞いて、今までの透の行動にすべて、今、透が語ったような意志があったんだと理解した。







「じゃあ、夏祭りの時に急にいなくなったのも…」



「夏美とおまえを、二人きりにするためだ。」



「そ、そんな…ごめん。僕何にも…」



「…いいんだよ。冬彦。これは、全部、オレが納得した上でやったんだ。」



「透……」










冬彦がそう言うと、二階へと続く階段を、誰かが降りてくる音がした。







その音の主は、健一だった。
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