「キカイ」の子
「…バレちゃったね…」





夏美は力のない声でそれだけを言うと、うつむいてしまった。





冬彦は、何も答えられず、黙って夏美を見ていた。







「…どこまで、聞いたの?」







顔を下に向けたまま、夏美は冬彦に訊いた。






「だいたいのことは…」







冬彦が、そう答えると夏美は顔を上げた。






「そう…」







夏美はそう言って悲しそうに笑うと、また、うつむいてしまった。







「ゴメンね…黙ってて…驚いたでしょ?」



夏美はそう言って、膝に置いていた手でシーツを握りしめた。






彼女の肩が少し震えているのに冬彦は気づいた。







その時、彼の胸にまた、鋭い痛みが走った。
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