「キカイ」の子
「え…?」



冬彦は驚いて、固まっていた。



「…やっぱり。なんとなく、そんな、気がしてたんだ…」



夏美はそう言って、また下を向いた。



呆然と立っている冬彦に、夏美は顔を伏せたまま話し掛けた。





「でもね、そんなこと、今じゃ全然悲しくないの。」



そう言った夏美の声は震えていた。





冬彦は、どんどん痛みが増す胸を押さえて、壁に寄りかかった。




キリ…





冬彦の頭の中で、何か金属の板が回るような音が鳴った。




その時、彼の頭にも鋭い痛みが走った。
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