「キカイ」の子
「あ、そうだ。健一さん、呼んでくるね。」




夏美はそう言うと、病室から出て行った。








一人白い部屋に残された冬彦は、気を失う前に、健一が何か言っていたような気がしたが、全く思い出せなかった。







…あの時、健一さんは何を言ってたのかな?





冬彦は天井を見上げ、しばらく考えていたが、頭が痛くなってきたので考えるのを止めた。







ちょうど、その時、病室のドアをノックする音が聞こえた。







「高椿君…入るよ。」


「あ、はい。どうぞ。」





冬彦がそう言うと、ドアが静かに開けられ、健一が入ってきた。








健一の顔は、相変わらず、穏やかな笑顔だった。
< 121 / 363 >

この作品をシェア

pagetop