「キカイ」の子
「やぁ、高椿君。気分はどうかな?」




健一は、冬彦に歩み寄りながら、訊いた。





「気分…ですか…」







冬彦はそう言うと、健一から目をそらした。







「…ふぅ。君はどうやら抱え込む癖があるみたいだね。」







健一は、軽く息を吐くと、やれやれといった顔をした。








「え?」







冬彦は健一と目をあわせた。







健一は冬彦を見ながら、片手で近くにあるパイプ椅子を引き寄せ、それに腰掛けた。








「透達が苦しんだのは、君の努力が足りなかったからじゃないよ。」







健一は、少し真面目な顔で冬彦に話し掛けた。







冬彦は、健一が、今自分が一番気になっていることを、いきなり切り出したので、面食らっていた。
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