「キカイ」の子
「透達は、特に透は、自分から話そうとしなかったんだ。夏美ちゃんの場合も、大体は同じさ。何でか分かるかい?」







「え?」






何で…透が黙っていたのか…





冬彦は正直なところ、分からなかった。










冬彦があまりに時間をかけて考えるので、健一が答えを言った。








「君が大切だからさ…」




冬彦は驚いて、健一を見た。その顔には優しい笑顔が宿っていた。




「僕が…?」


「そう…君が透を、夏美ちゃんを、思うように彼らもまた、君が大切なんだよ。だから、君に同じ重みを、背負わせたくなかったんだ。」







冬彦は黙って聞いていた。





すると健一は、窓の外のどこか遠くを見つめながら言った。
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