「キカイ」の子
「君達は、お互いを思っていたんだ。透達は君を思い、黙り、そして…」






窓を見ていた健一は、また冬彦を見た。





「君も今、彼らを思い、何もできなかった自分に怒っている。」





冬彦は黙ってうつむいた。






「…確かに、君は何もできなかった。」


「ーーっ…」






冬彦は、健一の言葉に胸が締め付けられ、声にならない声を上げた。






その様子を優しく見守りながら、健一は続けた。





「だが、それは君のせいじゃない。だから…自分を責めるのはよしなさい。」





でもっ!でもっ!…



冬彦の頭に再び、悲しそうな顔の透と、泣き崩れた夏美の姿が浮かび上がった。






…透も鍬原さんも、笑ってた!僕はそれが、空元気だったことにも気づかないでのんきに一緒に笑ってたんだ!……なんて!なんて情けない!
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