「キカイ」の子
「ただいま~」



冬彦は夕方、自分の家に帰ってきた。





病室で透達と笑った後、すぐに健一が駆け足でやってきて、三人揃って注意されたが、冬彦はなぜかそれが嬉しかった。





彼がそんなことを考えながら、リビングへ行くと、いつも通り、誰もいなかった。





何だ…やっぱり誰もいないか…






そんなことを思った後、冬彦は自分の部屋へと向かった。







彼は部屋に入ると、机には向かわず、ベッドに上向きで寝転がった。








鍬原さん…あの日は結局、伝えられなかったけど、本当にあの答えでいいのかな?





彼の目には、今日見た夏美の笑顔が映っていた。




……あれ?何なんだろ?この気持ち…





冬彦は、自分の胸がなぜ高鳴るのかを理解できずに、白い天井を見つめていた。




天井には何回も夏美の姿が描かれていた。
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