「キカイ」の子
「はい…」



長谷川がそう言って、緊張気味に通知表を差し出すと、冬彦はそれを受け取り、開かずに席までゆっくり戻った。






冬彦が席に着くと、後ろから透が嬉しそうに話してきた。






「フユピコ~どうだったよ?」




「まだ、見てないから分かんないよ。」





冬彦はそう言って、ゆっくりと通知表を開けた。






「げ……」





透が後ろから、眉間にしわを寄せ、声を出した。







冬彦の通知表に、四の数字はなく、すべてが五だった。







「ふぅ…」






少し緊張していた冬彦が、安心して息を吐いた。






それを見た透は冬彦に尋ねた。



「なんだよフユピコ。そんなに緊張してたのか?」



「少しだけね…下がってたら、父さんに叱られるから…」




冬彦はそう言って、苦笑いを浮かべた。





「下がるって、その成績じゃ上がりようがないだろ…」






透が少し呆れたように言った。
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