「キカイ」の子
病院に入ると、冷房の涼しい風が二人を包んだ。






「はぁ、暑かった。」





夏美がだるそうに声を漏らした。






それを聞いた冬彦は、心配そうな顔になって、




「大丈夫?辛くない?」

と訊いた。




「え?大丈夫だよ~これくらい。…でも、心配してくれてありがとっ。」




夏美はニコッと笑って、そう言った。





冬彦はまだ少し不安そうだったが、二人の前から歩いてくる男に気づき、そちらの方を見た。







「健一さんっ!」







冬彦は健一に歩み寄りながら、彼に呼びかけた。





呼ばれた健一は、ちょっとの間驚いた顔をしていたが、すぐに笑顔になった。
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