「キカイ」の子
「おや?…どうしたんだい?二人とも。病院でデートなんて味気ないだろ?」




健一がそう言うと、夏美は顔を赤らめた。




「別に…デート…とかじゃ…」





夏美はそう呟いた後、黙り込んでしまった。




「デートじゃないんですよ、健一さん。」



冬彦がそう健一に話すと、夏美は不満そうに冬彦を見て、



「…なんか否定されるのもヤだな~」


と、小さく言った。



その姿を見ていた健一は、穏やかな笑みを浮かべて、



「高椿君。そんなふうに言ったら、彼女が可哀想だよ。」



と、軽く注意した。



「え…?」



冬彦が、隣にいる夏美を見ると、彼女は口を尖らせて彼を見ていた。





「…どうしたの?」


「何でもないよ~」


夏美は、ぷいっと顔をそらした。




健一は、二人のやり取りをしばらく観察した後、訳が分からないといった感じで夏美を見ている冬彦に訊いた。





「…ところで、いったい、何の用なんだい?」
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