「キカイ」の子
「あぁ…えっと健一さんに訊きたいことがあって…」





冬彦はまだ、チラチラ夏美の方を見ながら健一に話した。





「僕に…訊きたいこと?」






「えぇ。そうなんです。実は…」





「宮瀬先生っ!」





冬彦が健一に話そうとすると、病院の奥から、一人の看護婦が焦った顔で、走ってきた。




「ん?どうしたの?」




健一は振り返って、看護婦の方を見た。



看護婦は冬彦の方をチラッと見ると、聞かれたくないのだろう、健一に耳打ちをした。








冬彦と夏美は、その光景を黙って見ているしかなかった。
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